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敏感肌について解説します

[2025.01.17]

明けましておめでとうございます。

新年最初は、敏感肌について解説したいと思います。乾燥状態が続き肌のトラブルも起こりやすい時期です。

「季節の変わり目は肌がかさつく」「化粧品を変えたら肌が赤くなってかゆい」「大人になってもニキビができて治らない」「なぜか全身がいつもかゆい」など、皮膚科の診療でよく診るトラブルをもつ肌質を敏感肌と言うようになりました。

ドラッグストアやコスメショップには“敏感肌用〝をうたった化粧品がたくさん並んでおり、今の日本人の7割を超える女性が自分は敏感肌と思っていると言われています。
一般の人だけでなく、皮膚科医も容易に敏感肌という言葉を使っているのが現状ですが、皮膚科の教科書にはそのような項目はありません。
敏感肌は学術用語ではなく、その定義もありません。

1.敏感肌と敏感肌体質とは
敏感肌とは、さまざまな外的刺激に対して反応しやすい顔の皮膚の状態をさし、敏感肌体質といえる何らかの素因をもつ者のみに生じます。敏感肌と呼ばれる肌の状態は様々で、その原因や重症度もそれぞれ異なり、複数の状態が合併することもあります。
また、体調や季節的誘因によって一時的に敏感肌の状態が生じたものを不安定肌とも言います。

2.敏感肌の分類
敏感肌を6つのタイプに分類すると、
①肌荒れ(顔の乾燥肌)
②肌荒れ過敏肌
③大人ニキビ
④カブレ
⑤光カブレ
⑥超敏感肌
となります。

これらを皮膚疾患に当てはめると
①肌荒れは脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの初期症状
②肌荒れ過敏肌は脂漏性皮膚炎
③大人ニキビは成人痤瘡
④カブレは接触皮膚炎
⑤光カブレは光線過敏症
⑥超過敏肌はアトピー性皮膚炎
となります。

3.顔の乾燥肌
「肌荒れ」はさまざまな理由で角層のバリア機能が低下し、単に肌(顔の皮膚)が乾燥する事で、ドライスキンの状態ともいえます。
肌荒れ(ドライスキン)を起こすと、外来性の刺激物質(化粧品、ホコリ、花粉、P M2.5など)が侵入して炎症を起こし、それぞれ脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎に移行します。
肌荒れの引き金であるバリア機能が低下する誘因としては、皮膚の炎症、気温の低下、皮膚の乾燥、顔の洗いすぎ、こすりすぎ、寝不足、過労、ストレス、循環不全、喫煙、栄養不足、加齢などがあげられます。

4.肌荒れスパイラル
脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎の初期症状である「肌荒れ」に対して正しいスキンケアができず、肌への刺激が続くと「肌荒れスパイラル」によって肌荒れの状態が持続します。そして、さらに刺激が強くなるとくすぶっていた皮膚の炎症が強くなり、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎へと移行するのです。


皮膚の炎症、気温の低下、皮膚の乾燥、顔の洗いすぎ、こすりすぎ、寝不足、過労、ストレス、循環不全、喫煙、栄養不足、加齢

①肌荒れ・乾燥肌(バリア機能の低下)

②外部刺激の侵入(化粧品、化学物質など)

③皮膚の炎症

④角層の水分量減少

①肌荒れ・乾燥肌

上記の「肌荒れスパイラル」により、悪循環で肌荒れが悪化し、長引きます。

5.肌荒れケアと敏感肌
肌荒れケアには、「肌荒れスパイラル」を断ち切ることが大切です。そのためには、皮膚バリアを整え、外部刺激の侵入を防ぐことが基本となります。最も大切でシンプルなケアは十分な「保湿」であり、外部刺激のうち最も多いと思われる化粧品を見直すことも大切です。
保湿ケアは、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの敏感肌のメンテナンスにも大いに役立ちます。

もちろん、誘因となるライフスタイルの改善も重要ですが、仕事や育児でなかなか難しい方もいらっしゃると思います。
まずは、敏感肌のスキンケアから始めていきましょう。

◉クレンジング剤は刺激の少ないものを使う。
クレンジングオイルや拭き取りシートは肌への負担が大きく、刺激となるため部分用として使用し、普段はローションや乳液タイプのクレンジングを使用しましょう。

◉コットンなどで肌を擦らない。
繊維との摩擦は肌への強い刺激となり肌のバリア機能が低下します。

◉洗顔には熱いお湯ではなく、ぬるめのお湯を使う。
皮脂が溶け始める温度は32℃。
熱いお湯では皮脂が根こそぎ取られてしまいます。想像するぬるま湯より、さらにぬるめのお湯を使うと◎

◉刺激の少ない洗顔料をよく泡立てて、優しく洗いましょう。
おでこ、あごなどの皮脂が多い部分から、泡を手のひらでプレスするように軽く優しく洗いましょう。

◉すすぐときも皮膚を擦らない。
たっぷりのぬるま湯で洗い流しましょう。

◉タオルでこすらず、抑えるようにして水分を拭き取る。

◉保湿剤をたっぷり塗る。

◉指示されたとおりに薬を塗る(肌荒れの症状が強いとき)

軟膏やクリームが複数処方されている場合では、医師から説明された順序を守って塗って下さい。特に説明がなかった場合では、一般に塗る面積の広い方から先に塗ります。
ステロイド外用剤と保湿剤の併用では塗る面積の広い保湿剤から先に塗り、後からステロイド外用剤を湿疹等の病気の部分だけに塗ります。この場合、先にステロイド外用剤を病気の部分だけに塗ってから、保湿剤を塗るとステロイド外用剤が塗る必要のない部分まで広がることで、副作用が起きる可能性があります。
軟膏やクリーム、病気などによっては順序が異なる場合もあるので注意して下さい。  
【日本皮膚科学会より引用】


◉刺激の少ない日焼け止めを塗る(天候や状況により判断)
日常生活は軽いスポーツであれば、SPF20〜30、PA++で効果があります。
敏感肌の方も正しいスキンケアで、美しく肌を手に入れましょう。

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