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脂漏性皮膚炎について

[2025.01.24]

脂漏性皮膚炎について解説します

脂漏性皮膚炎という症状を聞いたことはありますか?
皮膚科などではよくある疾患ですが、知らない方もいらっしゃると思います。
脂漏性皮膚炎は「肌荒れ過敏肌」とも呼ばれ、皮脂が出やすい先天的な体質(脂漏性体質)をもつ人にみられる皮膚炎で、日本人の40%程度が生じる体質を持っているといわれています。睡眠不足や過労、ストレスなどによって体のリズムが乱れたときや季節の変わり目などに、顔面や頭皮を中心に湿疹ができます。また、背中や胸の正中部、脇の下、臍などの皮脂が出やすい場所にも生じます。

1.脂漏性皮膚炎の症状

顔面のTゾーン(額から鼻、顎の部分)や小鼻の脇、耳(外耳道や耳介周辺)、頭皮にカサカサ(鱗屑)を伴った紅斑局面が生じます。症状が強いときは皮脂を伴い赤みが強くなり、掻くことによって浸潤液や痂皮(カサブタ)を伴います。また、脂漏性体質の人は大人ニキビ(成人痤瘡)を併発しやすいです。
脂漏性皮膚炎は、その名称から脂ぎった皮膚のことを指すと思われがちですが、脂漏性皮膚炎の初期症状は肌荒れであり、炎症が進むとカサカサ(鱗屑)になり乾燥肌にもなります。

2.脂漏性皮膚炎の発生原因

脂漏部位の毛包に定着する常在真菌(マラセチア)が発症に深く関与していますが、感染症ではありません。
皮脂が多くなりマラセチアが一定以上増殖すると、表皮に炎症が起こります。マラセチアに加えて、過剰な皮脂代謝産物が皮膚を刺激して軽い皮膚炎を生じると、皮膚のバリア機能が低下して肌荒れを起こします。壊れたバリアから外来性の刺激(化粧品、ホコリ、花粉、PM2.5など)が入りこみ、さらに炎症が起きて皮膚炎が進行します。
皮膚炎になるとさらにバリア機能が壊れるため肌荒れスパイラルに陥り、症状がより悪化します。増殖因子として、間違ったスキンケアや睡眠不足、過労、暴飲暴食などがあげられます。

3.脂漏性皮膚炎の予防

脂漏性皮膚炎は、先天的な体質(脂漏性体質)をもつ人に起こる皮膚炎のため、完治は難しいです。また、肌荒れスパイラルによって症状が悪化するも、薬で症状を完全におさえこむのではなく、悪化再発しないように肌のメンテナンスとしてスキンケアやライフスタイルの見直しをすることが大切です。
皮膚炎が体調悪化の危険を知らせてくれていると捉えて、気長に付き合っていきましょう。

4.脂漏性皮膚炎の治療

脂漏性皮膚炎の薬物治療は症状の重症度に合わせて外用薬(保湿剤、抗真菌薬、ステロイド薬など)を主体として、内服薬(ビタミンB2、ビタミンB6、抗ヒスタミン薬など)も組み合わせます。
薬物治療のほかには、スキンケアとライフスタイルの見直しが必要です。睡眠不足や過労、ストレスなど身体のリズムが乱れたときに発症悪化するため、薬に頼るだけではなく、体調管理が治療の基本であることを理解しましょう。
また、自身が正しいと思っているスキンケアが間違っている場合もあるので、前回お伝えした『敏感肌のスキンケア』ができているか確認しましょう!

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