肝斑にも使える?エレクトロポレーションはマイルドでいい治療です
[2025.04.07]
肝斑にはトラネキサム酸やビタミンCの内服や外用が確立されていますが、あらゆる刺激で悪化するためレーザー治療でも悪化する可能性があり、その他の治療方法についての問い合わせが多くありました。
当院には肝斑で悩まれている患者様が多く、安心して使用できリスクの少ないエレクトロポレーションを導入しました。
1. エレクトロポレーションとは
高電圧でナノからミリ秒オーダーのパルス電圧を加えて細胞の脂質二重層膜に一過性の小孔を作成し、その孔によって物質を細胞内へ導入する方法です。
本来、遺伝子やDNAを細胞へ導入するための手法として確立されていましたが、皮膚に発生した電場によって親水性の通路の形成や物質を輸送しやすくなることまたそれは可逆性であることが明らかになりました。
発生する小孔は10nm以下と非常に小さく開口時間も2〜100nsととても短く、その大きさや深さなど孔の発生の程度は周波数とパルスの長さおよび波形に依存します。
通電中に独立して発生し開いたり閉じたりと、様々な段階の孔が混在する電圧の程度によって皮膚の導入経路は変化します。5V以下ではイオン導入効果のみであり、5〜50Vでは主に汗腺や毛包のような付属器近傍、50V以上の高電圧で角層全体にエレクトロポレーションがみられます。イオン化されない物質でも導入され得るため、導入物質の選択の幅が広く、またイオン導入よりも効率的に美容成分を皮膚に導入することができると言われています。
2.コンビネーション治療について
他の治療法に加えて導入治療の併用、あるいは複数の導入方法を組み合わせる複合的なアプローチによって、それぞれ単体での治療よりも効率よく早く治療ゴールに達することが期待できます。特にエレクトロポレーションは侵襲性が低いため、同日でも他の施術とのコンビネーション治療をすることが可能です。
当院ではケミカルピーリング、フラクショナルトーニング、ダーマペンとの組み合わせを推奨しております。
◉ケミカルピーリングは、弱い酸が角層から表皮へ浸透することで細胞間のデスモゾームが破壊され、その修復で表皮の細胞分裂および角化が促進され同時に真皮のコラーゲンが増加するもので、尋常性痤瘡や加齢皮膚の治療として定番です。また物理的ピーリングとは、微小な粒子で角層表面を摩耗し脱落しやすくするものです。どちらも角層にダメージが起きることで皮膚は乾燥しやすくなり、物質が通過しやすい状態になります。
つまり、ケミカルピーリング施術直後に保湿に即効性があるエレクトロポレーションを組み合わせることで、ピーリングの副反応である乾燥を修復しつつ、より導入効果を高めることが可能です。
当院ではミックスピールというケミカルピーリングを採用しています。
日本人の肌にあうように開発された純国産のピーリング剤で、通常は1種類の薬品を用いますが、ミックスピールは乳酸をベースに、グリコール酸、サリチル酸を配合しており、ダウンタイムが少ないのが特徴のケミカルピーリングです。
乳酸:保湿に重要なセラミドの生成を促進し保湿機能を向上させる働きがあります。
グリコール酸:皮膚の奥深くに浸透し、不要な角質を除去する効果と肌に弾力を与えます。
サリチル酸:角質の除去と静菌殺菌作用があり、かゆみを抑制する効果があります。
◉シミ治療に使用されるQスイッチレーザーの生体作用は光機械作用と光熱作用の両方であり、Qスイッチレーザーより照射時間が短く高いピークパワーをもつルビーフラクショナルレーザーの生体作用は光機械的作用が中心です。
至適な照射時間とフルーエンスを用いれば、標的組織周囲への熱作用や機械的損傷は最小限となるため照射後の発赤や炎症後色素沈着を軽減することができます。
ルビーフラクショナルはトーニングといってお顔全体に低出力で広く照射することが可能で、いわゆるフォトフェイシャルのような治療が可能です。フォトフェイシャルよりもシミやくすみに対する反応が高く、肌を引き締める(タイトニング)が可能であるためツルっとしたお肌に仕上がります。
ルビーフラクショナルレーザーやフラクショナルトーニングは顔全体の光熱反応による治療であるため、直後に程度の大小はあれ熱により炎症を引き起こします。
その炎症の主となる活性酸素の除去などを目的とするアスコルビン酸(ビタミンC)などの抗酸化物質やDRM(成長因子レピスタ)などの薬剤をレーザーやトーニング後にエレクトロポレーションによって導入することで肌のハリ、抗炎症作用、保湿効果、美白などの効果を期待できます。
2. エレクトロポレーションの適応
肝斑だけでなく、美白、くすみ、しわ、赤み、たるみ、肌のツヤ、ハリなどの改善効果が期待できます。
シミ、シワ、たるみ、乾燥、毛孔開大などの加齢や光老化により多様な症状に対しては、単に外用薬や化粧品を塗布するよりはるかに効果があります。
また、日焼け直後は過度なメラノサイトの反応が懸念されるためレーザーや光治療は施行困難ですが、非侵襲的な導入治療は可能です。
むしろすぐ抗酸化物質、ビタミンC、成長因子製剤などをエレクトロポレーションで皮膚深部まで浸透させることで早い回復が見込まれます。
痤瘡(ニキビ)、特に炎症性皮疹と炎症後の紅斑に対しても抗酸化作用の効果が期待できます。
肝斑で悩んでいる方や、若返り効果や、美しい肌を手に入れたい方はぜひ一度エレクトロポレーションをお試しください。