10月に入り、ようやく秋らしい日々ですね。

しかし、私たちが毎年歳をとるたびに、皮膚も毎年衰えていきます。
今日は皮膚の衰えの代表である「シワ」について解説していきたいと思います。

皮膚の加齢変化は、主に日光に当たらない被覆部位に見られる「生理的変化」と、日光に当たる露光部位にみられる「光老化」に分かれます。

加齢による「生理的変化」は、皮膚が萎縮し、皮膚の潤いやツヤ、滑らかさ、ハリなどが減少し、シミやシワが増加する老化現象をいいます。
「光老化」とは、顔面や項部、手背などに長年にわたって太陽光線を浴び続けた皮膚にシミや深いシワ、イボなどの良性腫瘍、日光角化症などの前癌状態、基底細胞癌などの悪性腫瘍が生じる老化現象をいいます。

◉『皮膚の衰え』特徴

①表皮が萎縮して脆くなる
衰えた皮膚は薄くなり、ちりめんじわが寄ってきます。特に表皮が薄く、有棘細胞はわずか2〜3層の厚さになり、表皮真皮間の波状の凹凸もなく平らになってくる。
また、皮膚にハリと弾力がなくなり、打撲などの外的衝撃で簡単に傷を作り、皮下出血（老人性紫斑）を起こしやすくなります。
さらに、真皮乳頭層の毛細血管拡張が起こりやすくなり、皮膚表面から赤いすじになってみえます。

②皮膚の乾燥
脂腺、汗腺の働きが衰え、皮膚表面の油分が少なくなるため、皮膚が乾きやすくなります。
この性質は特に冬に目立ち、鮫肌のようになることもあります。皮膚の乾燥は外からの刺激を受けやすく、石鹸で身体を強く洗ったり、化学繊維の下着を着たりすることによる刺激で痒みが起こりやすいです。

③シミ、くすみ、白斑
高齢者のシミは、老人性色素斑（日光黒子）と呼ばれます。また、小さな白い斑点のようなものが全身にできることが多く、これを老人性白斑と言います。また、皮膚全体が黄ばんでくることもあり、皮膚の代謝が低下することによるくすみと考えられます。

④多種類のいぼができる
30〜40歳を過ぎると、様々な種類のイボができるようになります。顔をはじめ、全身にできる大小様々な褐色から黒色のいぼは、脂漏性角化症（老人性疣贅）と呼ばれます。また、首の中心にできる正常皮膚色から淡褐色の小さないぼは、スキンタッグと呼ばれ、軟性繊維腫の一種です。
さらに、全身にできる赤い半球状の小さないぼは、老人性血管腫と呼ばれます。

◉皮膚の衰えによる影響

若くして皮膚の衰えが目立つ人と、反対に中年を過ぎてもあまり目につかない人がいます。
この違いは、生まれつきによるものです。
ですが、例えば40歳で小じわが目立つように生まれついた人の皮膚も不摂生をすれば30代で小じわが目立つという結果を招きかねません。

皮膚の衰えを早める原因として、まずは太陽光線による光老化です。次に、慢性的な皮膚の炎症（かぶれや湿疹）です。軽い炎症であっても、知らず知らずのうちに皮膚の衰えを招くこともあるため注意が必要です。
また、小じわができる前には、皮膚に潤いがなくなり荒れてきます。よく「化粧のノリが悪くなった」というのは注意信号といえます。


◉「シワ」

シワは医学的に定義すると「後天的に生じた皮膚のゆがみ、あるいは表皮から真皮の変形」です。
シワの分類は、シワのレベルから表皮性と真皮性の2つに大きく分類され、それぞれ表皮ジワと真皮ジワと呼ばれています。
表皮ジワは、目尻や目の下に細く数本はいるもので、シワの深さが表皮レベルまでで、表皮の乾燥により一時的にできるため乾燥ジワとも呼ばれ、保湿で改善します。

真皮ジワには2つあり、1つは目尻や額などの表情筋の方向と垂直の細かいひだで小ジワとも言われます。シワの深さが真皮レベルまで達し、真皮に変形を生じているので保湿だけでは改善しません。真皮ジワの2つ目は、シワがさらに深まり、目や口の周り、顔の輪郭などにできる大きなひだで、大ジワといわれます。老化による様々な要因から生じるので老化ジワともいわれます。

◎表皮ジワ（乾燥ジワ）…目尻や目の下に細かく数本入るもの
◎真皮ジワ（小ジワ）…目尻な額などの表情筋の方向と垂直の細かいひだ
◎真皮ジワ（大ジワ）…目や口の周り、顔の輪郭などにできる大きなひだ

シワの原因の多くは、表皮の乾燥と光老化による真皮の細胞間基質や膠原線維、弾力線維の減少、組成変化、変性などによるものです。
その他、皮下脂肪の萎縮や下垂、表情筋の収縮や弛緩などによって、皮膚にたるみが生じてできるものもあります。

✴︎シワの原因（発生機序）✴︎
1.表皮の乾燥
2.真皮の細胞間基質の減少と組成変化
3.膠原線維や弾力線維の減少または変性
4.弾力線維の屈曲変形による配列の乱れ
5.膠原線維への弾力線維物質の斑状ないし帯状の沈着
6.皮下脂肪の萎縮、下垂
7.表情筋の収縮、弛緩


次回、表皮ジワと真皮ジワの外科的治療や美容皮膚におけるシワ治療、ケア方法について解説致します！


美しい肌は毎日の保湿と日焼け予防で作ることができます。
日々のケアを行い、皮膚の衰えを予防しましょう。