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手術に伴う合併症について

手術は痛みや傷跡を伴う治療です。もちろん手術をせずに治していくことが優先ですが、手術をしなければ治らない病気もたくさんあります。当院ではできものの切除をはじめ、眼瞼下垂の治療、ワキガの治療、爪の治療など手術で行います。合併症とは手術に伴って発生する好ましくないことを指します。われわれ外科医は合併症をゼロに抑えるために様々な工夫を行いながら手術を行っていますが、残念ながどんな単純な手術でも少ない確率で合併症が発生する可能性があります。ただ、合併症が発生したとしても適切な対応を行うことで早期に回復することがほとんどです。ここでは一般的に起こりうる手術合併症に関して記載させて頂きます。

きずあと

“きずあと”は形成外科では一番配慮する合併症です。ホクロや粉瘤を摘出する場合には切開を加えることが必要です。円形のできものを切除する場合には舟形(紡錘形)に正常皮膚を一部含めて切除します。どうして大きく切除するのかと疑問に思われる方もいると思いますが、円形のものをそのまま縫合すると傷の端と端が犬の耳のように盛り上がる“dog ear”が必ず生じます。これをなくすために舟形に切除して縫合することで元々のできものよりも長い直線状の傷に仕上げます。顔面などではそのまま円形にくり抜いて切除し、巾着状に縫合する方法が適していることもあります。きずあとは手術だけではなく、レーザー治療でも生じることがあります。シミ治療などに使用するレーザーでは一時的に色素沈着が目立つこともありますが、炭酸ガスレーザーなどは深い部分まで削る治療であるため傷あとが術後一定期間少し目立つこともあります。傷あとを少しでも目立たなくするためには皮膚のしわのライン(皮膚割線)に沿って切除を行うこと、切除デザインをなるべく小さくすること、丁寧な縫合(特に真皮縫合)を行うことでより目立ちにくい傷に仕上げるように工夫していきます。また、手術後のアフターケアも重要です。マイクロポアテープを貼付したり、遮光を徹底するなど患者様にも協力をして頂くことがあります。

出血・血腫形成

皮膚を切ったり縫合したりすることで傷から出血を起こします。その際に小さい血管からの出血であればモノポーラーやバイポーラーという機械を用いて止血を行います。大きな血管であれば結紮(糸で縛る)ことで止血を行います。このような方法を用いても術後に痛みで血圧が上昇したり、手術部位に不要な圧力がかかることで傷の下で出血を起こすことがあります。特に切除した腫瘍が大きい場合などは注意が必要です。それを予防するためにストローのような形をした血抜きの管(ドレーン)を留置したり、テープとガーゼで圧迫を行います。傷の中に血液が溜まると血腫となり、細菌感染や術後疼痛の原因になることがあります。血腫ができると数日間はゼリーのように硬くなってしまうため少し傷をあけて除去・洗浄を行うことがります。

創部感染

創部の感染は傷を清潔に保つことでほとんどの場合予防することが可能です。抗生剤の投与は手術の汚染レベルによって必要かどうか判断する必要がありますが、感染がない(起こっていない)手術の場合にはほとんど投与する必要がないといわれております。むしろ無駄に投与することで抗生剤に対して免疫のある菌を作り出してしまったりすることがなどのデメリットも多いため不要な抗生剤の投与は控えるようにしております。当院では術後1-2日して創部の問題がなければ自宅でシャワーなどで石鹸を用いて洗浄して頂くようにしております。洗浄を行うことで不要な浸出液などを取り除き最近の増殖を抑制することができるからです。患者様にはよく洗っていいのと聞かれますが、水道水でしっかり洗ってもらって構いません。(ガイドライン上でも水道水で洗うことを推奨)自宅での処置が困難な方などは当院で処置を行いますでのお気軽にご相談下さい。

再発

切除した腫瘍が再発しやすいものであれば同部位に同様の腫瘤が形成されることがあります。またホクロなどをレーザー等で削る処置を行うと芯が深い場合には数年後に再発を来す可能性があります。その場合は再度手術が必要になることがあります。

術後の疼痛、機能障害

術後数日は傷口がチクチク痛むことがあります。痛み止めの処方でほとんど対応できます。機能障害とは術後の傷の影響で関節が動かしにくくなったり、指が曲がりにくくなるようなことがあります。ただ、形成外科領域の手術では起こることは稀であると思われます。

再手術の可能性

感染や創部離開などが起これば速やかに対応します。保存的治療(内服や外用など)で軽快する場合もあり、傷の状態などによって判断します。場合によっては再度縫合をしたり、手術をやり直す場合があります。

まとめ

手術に関する一般的な合併症に関して述べさせてもらいました。手術内容はそれぞれ異なりますので説明用紙を用いてその都度分かりやすくご説明させて頂きます。ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ね下さい。

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