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脂肪腫の治療(摘出)

脂肪腫(リポーマ)とは

脂肪腫は、成熟脂肪細胞からなる最も頻度の高い間葉系良性腫瘍です。身体のあらゆる部位にできますが、背部や肩甲骨近傍など比較的上半身に認めることが多いです。幼少期ころから既に存在していた脂肪腫が年々大きくなり、成人になって気が付くというケースが多いようです。若年者よりも40~50代くらいの年齢に発生しやすい傾向にあります。脂肪腫は柔らかく徐々に拡大し特に痛みなどもないため、放置さることが多いです。そのため握り拳程度の大きさになってから来院される方も少なくありません。脂肪腫は名前の通り皮下の脂肪から発生するため、比較的浅い層にあるものから筋肉内に発生するものまで色んなバリエーションに富んでいます。皮下の浅いところにある場合、触るとぷにぷにと移動し、粉瘤などよりも可動性に富んでいることが多いです。しかし、深いところに形成されると可動性が下がり、ときに診断が困難となります。また、脂肪腫には一部で悪性化を来すもの(脂肪肉腫など)があり、特に急速に増大し、触ると固い場合は注意が必要です。触診と超音波検査で診断がつく場合が多いですが、場合によってはMRI検査を行う必要があります。仮に悪性が疑われる画像所見を認めた場合には、総合病院等へご紹介させて頂きます。また、良性の可能性が高い場合でも病理検査(腫瘍の一部を切除し検査)を行い、診断を確定させてから手術を行う場合があります。

脂肪腫と似た疾患

血管腫、神経鞘腫、骨腫、血管脂肪腫、脂肪肉腫、線維腫など

 

脂肪腫(リポーマ)の治療

術式:皮下腫瘍摘出術 手術時間15~30分程度

脂肪腫は皮下に存在するため皮膚を切除する必要はありませんが、脂肪腫が大きくなり皮膚が伸展されて余剰になる場合には合併切除することもあります。腫瘍のサイズが握り拳くらいなら局所麻酔でも十分摘出できますが、大きいサイズのものや筋肉と一体となっている場合は全身麻酔での摘出をお勧めしております。切除の方法ですが、腫瘍の直上に切開線をデザインします。デザインの際には皮膚割線とよばれる皮膚のしわの方向を意識してデザインを行い、なるべく小さい傷で終わるようにデザインを考えます。ぷにぷにと触って動くタイプの腫瘍は切開を加えた時点でにゅるりと自ら飛び出してきますが、腫瘍が周囲の組織と癒着している場合には摘出するのに時間がかかります。また、腫瘍の癒着が強い場合には切開線が大きくなることもあります。腫瘍が切除されると皮下にぽっかりと空洞が形成されるので空洞をなくすように工夫しながら皮下縫合を行っていきます。空洞が大きい場合や背部に存在する場合は術後に出血することがあるのでドレーンという血抜きの管を留置します。ドレーンは翌日、翌々日の再診時に抜去(抜去には特に痛みなどはありません。)します。さらに皮膚の表層をナイロン糸で縫合します。術後は圧迫が重要であるためガーゼをお団子のようにしてテープで圧迫固定します。圧迫は1~2日程度行って頂きます。

 

術式:脂肪吸引法

美容外科の分野で用いられることがあり、小さい傷での摘出が可能になります。ただ、腫瘍の取り残しや血腫形成、病理標本作成に影響が出るため当院では行っておりません。

合併症

出血、血腫、感染、創部離開、瘢痕拘縮(傷跡が目立つということ)、術後疼痛、再発、再手術の必要性、局所麻酔に伴うアレルギーなど

術後の通院、処置について

手術後は術翌日あるいは翌々日に再診をして頂きます。ドレーンを留置している方は必ず術後処置に来院されるようにして下さい。ドレーンが抜去できればシャワー浴が可能となります。背中の傷などで自己処置が困難な場合には防水フィルムを貼付することがあります。抜糸は部位にもよりますが、7日を目安に行っております。抜糸後は傷保護のテープを貼ります。抜糸が終了すれば1か月後、3か月後を目安に傷の確認、再発の有無などを確認します。

病理検査について

当院では切除した検体を病理検査に提出しております。稀に皮膚がんや想定外の腫瘍の可能性があるので必ず施行しております。病理結果は14日程度で結果が判明しますので外来受診の際に結果をお伝え致します。

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