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静脈うっ滞性皮膚炎の原因と治療

うっ滞性皮膚炎とは

下肢の静脈瘤や長時間の立ち仕事をする人などに認められる下腿の皮膚病変で女性に多い傾向があるといわれています。進行すると潰瘍形成を認め、難治性となることがあります。

うっ滞性皮膚炎の原因

静脈の血流不全(心臓への血液の戻りが悪く、うっ滞すること)やリンパの還流不全が原因といわれております。静脈の血流不全を起こす原因としては静脈の弁の機能不全、下肢の筋力低下(ポンプ機能低下)により起こるとされています。長時間立ち仕事をするような場合には高い圧がかかるため静脈の弁が壊れてしまうことで静脈のうっ滞がおこるといわれております。また、肥満などで鼠径部が圧迫されることでリンパや静脈の流れが悪くなることも要因といわれております。そのため妊娠出産を契機に症状が出現することもあります。

静脈の血流不全が起こると、心臓へ戻るはずの静脈が停滞し静脈自体への圧が高まります。そうなると毛細血管といわれる細い血管から出血をきたし、ヘモジデリンが沈着し下腿が黒色へ変化します。さらに皮膚の細胞がうっ滞により障害され、様々な皮膚の症状が出現してきます。

うっ滞性皮膚炎の症状

皮膚の萎縮や乾燥が起こることで湿疹、かゆみを生じることがあります。湿疹は引っ掻くことで拡大(自家感作性皮膚炎)を起こすことがあります。容易に皮膚が破綻するため潰瘍が生じやすくなり、また細菌感染などを引き起こす可能性が高くなります。

うっ滞性皮膚炎の診断

視診から特徴的な所見を示すため判断が付きやすい疾患といえます。静脈の機能評価のためには超音波検査、造影CTなどの画像検査が有用になることが多いです。CTなどの画像検査が必要な場合には近隣施設をご紹介させて頂きます。

うっ滞性皮膚炎に似た疾患

皮脂欠乏性湿疹、蜂窩織炎など

うっ滞性皮膚炎の治療

うっ滞を予防するために下肢に弾性包帯あるいは弾性ストッキングなどを着用し圧迫を行います。それに加えて症状に適した外用剤や内服を組み合わせて治療を行っていきます。色素沈着はなかなか軽快することが難しく、長期間の保湿などが必要になる場合がほとんどです。静脈瘤が高度な場合には手術適応となるため近隣施設をご紹介させて頂きます。

下肢の圧迫療法

弾性包帯や弾性ストッキングを着用し、下腿を圧迫します。圧迫による静脈の還流を増やすことを目的としております。弾性包帯は初期に使用します。巻き方にはコツがあり、ご本人のみでの着用が困難な場合があります。そのため同居しているご家族様などに協力をしてもらうことが必要です。弾性ストッキングはなるべくきつめのものを着用してもらうようにしてもらいますが、着用に時間がかかったり煩雑であり続かない方も多いのが現状です。その場合は市販のきつめのストッキングなどで代用してもらうようにして頂いております。

うっ滞性皮膚炎は慢性疾患であり、予防も重要になります。それぞれ自分に合った圧迫治療を見つけられるようにお手伝いをさせて頂きます。ただし、心不全など心疾患がある場合には負担がかかるため行えないこともあります。

保湿剤

うっ滞性皮膚炎では皮膚の乾燥を伴います。そのため保湿を行うことが症状の緩和と悪化の予防になるため非常に重要です。ご自身の使用感に合わせた保湿剤を選択し、毎日できれば1日2回塗布するように心がけましょう。

外用剤・外科治療など

かゆみのある湿疹などを合併している場合には保湿剤に加えてステロイド外用などを使用します。浅い傷や潰瘍形成を認める場合には傷の状態に適した軟膏を使いながら治療をすすめていきます。進行すると壊死した組織をデブリードマン(切除)する治療を組み合わせたり、傷の面積が大きい場合には植皮(皮膚移植)などを行う場合があります。傷の範囲が大きい場合などには入院治療が必要になることもあります。

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