にきび(尋常性ざ瘡)
にきびとは
にきびは尋常性ざ瘡といわれ、10~30代、特に思春期に好発します。にきびは毛穴に一致してできる炎症を伴う丘疹です。
にきびは治るの??
にきびは肌質だけではなくホルモンの影響を大きく受ける疾患です。そのため薬を使用してすぐに治るものではありません。最低でも3-6か月程度の治療が必要のなることがほとんです。根気も必要になりますが、気長に治療をしていくことが大切です。
にきびの原因
にきびはホルモン(内分泌)と皮膚の角化亢進、細菌(アクネ菌)が原因で起こるといわれております。思春期になるとアンドロゲンと呼れるホルモン分泌が亢進し、顔が脂っぽくなります。さらに皮膚の角化により毛穴を塞ぐようになります。そして顔の脂を好むアクネ菌が脂を分解して遊離脂肪酸を産生し、それが顔に炎症を引き起こします。
他にもストレスや遺伝など様々な因子が複雑に影響していると考えられております。
にきびの症状
最初は面皰(コメド)という小さい結節が形成されます。色調は白色のものが多く、“白ニキビ”といわれています。白ニキビの中で段々とアクネ菌が増殖し、炎症を伴う“赤ニキビ”に変化していきます。そしてニキビ痕を残して治癒をしていきます。早めに適切な治療を行うことでニキビ痕を減らしていくことが可能となります。
にきびに似た疾患
ステロイドざ瘡、顔面播種状粟粒性狼瘡など
にきびの治療
赤いにきびには抗生剤外用や内服、白いにきびには毛穴の詰まりを改善するピーリング作用を持つ外用剤を使用します。ほとんどの場合で赤いにきびと白いにきびが混在するためお薬を数種類併用することが多いです。にきびの治療は開始してすぐに効果が出るのではなく、数ヶ月使用することで改善をしていきます。にきびが減少したあとも薬を使用して予防・維持に努めることも重要です。
抗生剤外用・内服
現在数種類の抗生剤外用薬が使用されております。中には年齢制限のあるものもありますが、1日1回の使用で効果が得られるものもあります。抗生剤外用は赤いにきびにのみ使用し、周りに広く塗る必要はありません。内服の抗生剤はガイドライン上も有用であるとされていますが、長期間の使用は耐性菌を生むため避けるようにしております。抗生剤によってはめまいや色素沈着の副作用があるものもあります。
過酸化ベンゾイル(ベピオ®ゲル)
抗菌作用と角質剥離作用があります。使用開始時にヒリヒリ感などの副作用が出現することがあり、小範囲からの塗布を開始していきます。保湿剤を塗布すことでヒリヒリ感などを抑えることも可能です。2023年6月から新しいベピオローションが販売されました。以前のものより刺激感が少なく使いやすとのことで当院でも使用しております。
アバタレン(ディフェリン®ゲル)
面皰抑制作用と抗炎症作用があります。過酸化ベンゾイルと同様にヒリヒリ感が強く出現することがあります。妊娠中の方には使用出来ません。
アゼライン酸
アゼライン酸は天然由来の成分で海外では以前からニキビ治療に使用されておりました。アゼライン酸は上記の保険の治療薬がかぶれて肌に合わない方や治療を継続しているけどなかなか効果が出ない方、赤みが取れにくい方などに処方しております。これは保険外のお薬になります。当院ではロート製薬のAZAクリア(1980円)を使用しております。AZAクリアは保険外のお薬になります。
アクネトレント
アクネトレントはイソトレチノインというビタミンAの一種で、皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用に優れているため、重症の炎症性ニキビに対して効果があります。日本では厚生労働省の認可がおりてないため、保険が適応されていませんが、欧米ではニキビ治療に必要不可欠な薬剤として認知され、20年以上の歴史を持つ「ニキビ治療の切り札」とも言われています。
効果としては、重度のニキビ、しこりニキビ、酒さ(赤み)、毛穴のひらき・黒ずみ、皮脂抑制などがあります。難治性ニキビの方や、一般的ニキビ治療では治療が困難であった方が対象となります。1日1回20mg(1錠)を内服し、効果や副作用をみながら治療を行い、短期間では効果が得られない可能性もあるため4〜6ヶ月の内服を推奨しています。
★アクネトレントの注意点
①妊婦、授乳婦、妊活中の方は内服できません。
妊娠中の女性が服用した場合に、胎児への催奇形性のおそれがあるため、米国食品医薬品局(FDA)では、インターネットや個人輸入により入手することのないよう、厚生労働省より注意喚起を行っています。胎児への重大な催奇形性があるため、妊娠している人、妊娠予定のある人、または服用期間中に妊娠する可能性のある人は服用できません。
服用期間中とその前後1ヶ月間に性行為をする場合は、必ず避妊を行ってください。服用期間中とその後1ヶ月間は妊娠、授乳、献血をしないでください。
※妊娠女性への輸血により、胎児にイソトレチノインの影響が生じるおそれがあります。イソトレチノインを、他の人と共用しないでください。
★アクネトレントの副作用
アクネトレントはビタミンAの一種であり、皮膚の乾燥や赤み、口鼻眼の乾燥、ニキビの一時的な悪化などの副作用が起こりやすいです。
内服時は保湿などのセルフケアをしっかりと行いましょう。また、アナフィラキシー、抑うつ状態、眼疾患、肝機能障害、腎機能障害、視力障害、胸の圧迫感、息切れ、喘鳴、肌の乾燥(特に口周囲)、口渇、発疹、頭痛、吐き気、下痢、嘔吐、脱毛、過度の発汗、関節炎などが生じることがあります。
※皮膚や粘膜の乾燥症状以外はかなり稀な副作用です
★アクネトレントは飲み合わせに注意が必要
頭蓋内圧亢進による頭痛の副作用がでる可能性があり、ミノマイシン・ビブラマイシン等のテトラサイクリン系の抗生物質との内服併用はできません。
また、光・レーザー・ピーリングは内服期間中と治療後1か月は併用禁止です。
当院ではアクネトレントをご使用前に必ず説明、同意書にサインをしていただき、ご納得いただいた上で治療を始めます。また、16歳以上の方からご使用いただけますが、未成年の方は保護者の方とご一緒にご来院いただくようお願い致します。
漢方
漢方はガイドライン上の推奨度は低いですが、他薬剤で副作用がある場合や他治療と併用することで有用なケースもあります。当院では生理に伴って悪化するニキビやなかなか治らない赤いニキビなど認める場合に使用することが多いです。
スキンケア
洗顔は1日2回を基本とし、こすりすぎないよう優しく洗顔するようにして下さい。脂っぽい方は若年者の方は保湿は必須ではないですが、にきび治療薬で乾燥傾向になる場合には使用をすすめております。洗顔石鹼や保湿剤などにはノンコメドジェニックのものやにきび肌に向いたものもありますで外来でお尋ね下さい。
生活習慣
以前はチョコレートの食べ過ぎなどが指摘されていましたが、特定の食べ物が影響を与えることはありません。バランスの良い食事を心がけて下さい。ストレスや夜更かしなどを減らすことも重要です。