粉瘤について
広島市安佐南区の皆さん、こんにちは。わかば皮ふ形成クリニック院長の江草豪です。私たちのクリニックは、JR下祇園駅から徒歩5分ほどの場所に位置し、日々多くの方の皮膚のお悩みと向き合っています。今回お話しするのは、日常の診療で非常によく見かける粉瘤(ふんりゅう)についてです。ふとした時に首や背中に触れる「小さなしこり」に不安を感じたことはありませんか。あるいは、そのしこりが突然腫れ上がり、痛くてたまらなくなった経験がある方もいらっしゃるでしょう。粉瘤は良性の腫瘍ですが、放置すると炎症を起こすこともあるため、適切な知識と対処が重要です。形成外科専門医の視点から、その正体と治療について詳しく紐解いていきます。
粉瘤の症状について
粉瘤は、専門的にはアテロームとも呼ばれる皮膚の良性腫瘍です。最初は数ミリ程度の小さなしこりとして自覚されることが多いですが、時間の経過とともに少しずつ大きくなっていく特徴があります。多くの方が「脂肪の塊」と勘違いされますが、実際には皮膚の中に「袋」ができ、その中に本来剥がれ落ちるはずの垢(角質)や皮脂が溜まっていく病気です。
粉瘤の代表的な症状や見た目の特徴には、以下のようなものがあります。ご自身のしこりと照らし合わせてみてください。
- 皮膚の表面に黒点のような小さな「へそ(開口部)」が見える。
- しこりを強く押すと、ドロドロとした独特の臭いがある白い物質が出てくることがある。
- 触ると皮膚のすぐ下に、コリコリとした動く塊を感じる。
- 普段は痛みがないが、細菌感染を起こすと急速に赤く腫れ、激しい痛みが生じる。
特に、突然しこりが大きく腫れて痛み出した状態を「炎症性粉瘤」と呼びます。この状態になると、寝返りを打つだけで痛んだり、衣類が擦れるだけでも辛かったりします。こうなる前に処置をすることが望ましいのですが、広島市安佐南区の当院を受診される患者さんの多くは、残念ながらこの「腫れて痛くなってから」来院されるのが現状です。
粉瘤のできやすい場所についても触れておきましょう。粉瘤は全身どこにでもできますが、特に顔、耳の後ろ、首、背中、お尻によく見られます。ご自身で潰してしまう方もいらっしゃいますが、袋が破れて中身が周囲に漏れ出すと、より強い炎症を引き起こすリスク因子(引き金となる要因)になりますので、決して無理に触らないようにしてください。
皮膚のしこりに関する全体的な解説については、当院の「できもの・しこり」のページも併せてご覧いただくと、他の疾患との違いが分かりやすいかと思います。
粉瘤の原因について
粉瘤ができる原因については、実はまだ完全には解明されていない部分も多いのですが、いくつかのメカニズムが考えられています。最も一般的なのは、毛穴の出口が何らかの理由で詰まってしまい、皮膚の成分が内側に袋を作ってしまうケースです。体質的にできやすい方もいらっしゃいますし、外傷(ケガ)の後に皮膚の成分が深く潜り込んで袋を形成することもあります。
また、手のひらや足の裏にできる粉瘤の中には、ヒトパピローマウイルス(いぼのウイルス)の感染が関わっているものがあることも分かっています。いずれにしても、ご本人の不摂生や汚れが原因でできるものではありませんので、「自分が不潔にしていたからでは」と悩む必要は全くありません。予防が難しい病気だからこそ、できてしまったときにいかに的確な処置を行うかが鍵となります。
粉瘤の病気の種類について
一口に粉瘤と言っても、臨床現場ではいくつかのパターンに分類されます。それぞれの状態によって、私たち医師が提案する治療のアプローチも変わってきます。
通常のアテローム(表皮嚢腫)
最も一般的な粉瘤です。皮膚の中にできた袋に、老廃物が溜まっています。炎症を起こしていない時期は、周囲との癒着も少なく、手術で袋をきれいに取り出しやすい状態にあります。早期のうちに摘出を検討することが、傷跡を小さく抑えるコツと言えます。
炎症性粉瘤
粉瘤の袋の中で細菌が繁殖したり、袋が破れて中身が漏れ出したりして、強い炎症が起きている状態です。皮膚は真っ赤に腫れ上がり、内部には膿(うみ)が溜まっています。この段階では、袋を丸ごと取り出す手術は難しく、まずは膿を出す処置(切開排膿)を優先し、症状の緩和を目指すことになります。
多発性粉瘤(脂腺嚢腫症など)
全身に数十個から数百個単位で小さな粉瘤が多発する体質的な状態です。一つひとつは小さいですが、数が多いため、日常生活で気になるものから優先的に治療を行います。これらは一般的な粉瘤とは少し袋の性質が異なる場合があります。
外傷性嚢腫
過去のケガや手術の跡に、皮膚の一部が埋まり込んで袋状になったものです。性質は粉瘤と似ていますが、ケガの場所などに限定して発生します。手のひらや足の裏など、通常毛穴がない場所にできるしこりは、このタイプであることが多いです。
粉瘤の治療法について
粉瘤は薬を飲むだけで「袋」が消えてなくなることはありません。根本的に治すためには、外科的に袋を摘出する必要があります。わかば皮ふ形成クリニックでは、日本形成外科学会認定の形成外科専門医および指導医である私が、傷跡の整容性に配慮した手術を行っております。
主な手術方法には以下の2つのパターンがあります。
くりぬき法(へそ抜き法)
特殊なパンチのような道具を使い、粉瘤の「へそ(開口部)」の部分に小さな穴を開けて、そこから内容物を絞り出した後に、しぼんだ袋を引き抜く手法です。傷口が非常に小さく済むため、抜糸後の跡が目立ちにくいのがメリットです。ただし、巨大な粉瘤や非常に壁が薄い粉瘤には適さない場合もあります。
紡錘形切除術(切開法)
しこりの直上の皮膚をラグビーボールのような形(紡錘形)に切開し、袋を周囲の組織から剥離して丸ごと取り出す方法です。大きな粉瘤や、過去に炎症を繰り返して周囲と癒着している場合に適しています。形成外科ならではの縫合技術を駆使し、皮膚のしわのラインに沿った切開を行うことで、精度の高い仕上がりを目指します。
当院での手術の流れやこだわりについては、「当院の日帰り手術」のページでも詳しく解説しています。また、手術自体が不安な方のために、局所麻酔についても丁寧な説明を心がけています。
料金について
粉瘤の手術は、基本的に保険診療が適応されます。費用は、粉瘤の場所(露出部か非露出部か)や、取り出した腫瘍の大きさによって国で定められた診療報酬に基づき計算されます。以下は、3割負担の場合の概算費用(手術料のみ)の目安です。
| 部位 | 腫瘍の大きさ(長径) | 自己負担額(3割負担・目安) |
|---|---|---|
| 顔・首・手足など(露出部) | 2cm未満 | 約5,000円 |
| 顔・首・手足など(露出部) | 2cm以上4cm未満 | 約11,000円 |
| 背中・お腹など(非露出部) | 3cm未満 | 約4,000円 |
| 背中・お腹など(非露出部) | 3cm以上6cm未満 | 約10,000円 |
※上記のほかに、初診料、再診料、処方箋料、病理組織検査料(摘出したものが良性かどうかを確認する検査)などが別途かかります。詳細な総額については、診察時に丁寧にご説明いたします。また、お支払いや当日の流れについては「日帰り手術について」のページもご参照ください。
粉瘤についてのよくある質問
Q1. 自分で中身を絞り出しても良いですか?
A1. おすすめしません。一時的に小さくなったように見えても、袋が残っている限り必ず再発します。また、無理に押すことで皮膚内部で袋が破れ、激しい炎症(炎症性粉瘤)を引き起こしたり、細菌が入り込んで化膿したりする恐れがあります。清潔な状態で専門医に任せていただくのが最も安全です。
Q2. 手術は痛いですか?
A2. 手術は局所麻酔を行ってから進めます。麻酔の注射の際にチクッとした痛みがありますが、細い針を使用し、可能な限り痛みを抑える工夫をしています。麻酔が効いてしまえば、手術中に痛みを感じることはありません。術後の痛みについても、適切な鎮痛剤を処方いたしますのでご安心ください。
Q3. 手術したその日に帰れますか?
A3. はい、当院で行う粉瘤の手術はすべて日帰り手術です。大きさにもよりますが、手術自体の所要時間は15分から30分程度です。広島市安佐南区にお住まいの方や、お仕事帰りの方でも、日常生活に大きな支障なく受けていただけます。
Q4. 傷跡は残りますか?
A4. 外科的に切開をする以上、完全に無傷ということはありません。しかし、形成外科専門医として皮膚のシワに合わせた切開を行い、真皮縫合(皮膚の深い層での縫合)を丁寧に行うことで、高水準の整容性を目指します。数ヶ月から1年程度で、白い細い線のようになり、目立たなくなっていくことが一般的です。
院長より
ここまで粉瘤について解説してきましたが、最後にお伝えしたいのは「形成外科を受診するメリット」です。よく患者さんから「皮膚科と形成外科、どっちに行けばいいの?」という質問をいただきます。粉瘤の診断自体はどちらの科でも可能ですが、その「袋をきれいに取り去り、傷跡を美しく治す」という点においては、形成外科がその専門性を発揮する分野です。
私は日本形成外科学会認定 形成外科専門医および指導医として、長年大学病院やがんセンターで再建外科に従事してきました。失われた組織を修復する高度な技術を、現在はクリニックでの「日帰り手術」という形で、地域の皆さんの身近な悩みの解決に役立てたいと考えています。ただ治すだけでなく、その後の生活がより健やかで、コンプレックスのないものになるよう、「再健外科」としてお手伝いすることが私の使命です。
広島市安佐南区のわかば皮ふ形成クリニックでは、お忙しい方のために、条件が合えば初診当日中の日帰り手術にも対応しています。「このしこり、何だろう?」と一人で悩まず、まずは下祗園駅徒歩3分の当院へ気軽にご相談ください。スタッフ一同、皆さんの不安に寄り添い、丁寧な診療を約束します。
診察のご予約は「WEB予約」のページから24時間受け付けております。お電話でもお気軽にお問い合わせください。
この文章の作者
わかば皮ふ形成クリニック 院長 江草豪
【資格・指定医】
日本形成外科学会認定 形成外科専門医 / 指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
新リンパ浮腫研修修了
