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皮膚の基本マメ知識

[2024.11.16]

☆美容皮膚の基本

美容とは、顔や身体のかたちを美しく整えることです。健康な皮膚の上にメイクをしなければ化粧映えせず、高価な化粧品の効果も100%発揮することはできません。
乾燥する時期はすぐに肌荒れしますよね。今日は皮膚の基本についてお話ししたいと思います。

①角層について
人体の最外層は、表皮ケラチノ(角化)細胞の最終産物である角質細胞が積み重なってできた角層に覆われています。角層が持っている1番重要な機能はバリア機能で、化粧品をはじめ皮膚に付く様々な有害物質や微生物、物理的刺激などの外的刺激から皮膚を守っています。

⚫︎角層の厚さ
表皮と真皮を合わせた皮膚の厚さは平均2mmです。顔の表皮は0.2mmの厚さであるのに対し、角層は0.02mmとラップと同じくらい薄いです。肌が美しいか、美しくないか決めるのはたった0.02mmの角質の美しさなのです。つまりは、角質を整えることは、美容上最も重要なのです。

外界から絶えず物理的な刺激を受けていると、その部分の角質は次第に厚くなってきます。また、人間は立って歩き、手で色々なものを握って仕事をします。そのため手のひらや足の裏は生まれつき角質が厚く、手のひらより足の裏の方が厚いのは足を使って立ち歩いているためです。

角層にこの性質があるからこそ、私たちは日常生活で力仕事ができます。皮膚の一部に繰り返し力が加わるとその部分だけ特に角質が厚くなります。
このように角質が厚くなってくるのは、外力によるものだけではありません。慢性の湿疹や皮膚炎で皮膚を常に掻いていると、その物理的刺激によって角層や表皮が厚くなります。日光を浴びたときも角層は厚くなります。
角層が厚くなると、光線を散乱して強い日光による皮膚の害を少なくすることができ、日焼け予防になるのです。
高齢者の顔の皮膚は、加齢によって衰え薄くなります。このとき、角層の厚さは変わらないですが、慢性的な日光暴露を受けていると、光老化を起こした皮膚は肥厚し、角層も厚くなります。

⚫︎角層の表面
皮膚の表面すなわち角層表面は皮脂膜で覆われており、皮膚に潤いと滑らかさを与え、外界からの刺激から皮膚を守る役目のひとつを担っています。
また、角層は皮膚の組織において最も外側にあるため、その表面からは角質片がたえず自然に剥がれ落ちています。表面に近いところほど角質細胞の隙間が目立ちますが、これは角質細胞を角質片としてはがれ落ちやすくするためです。
隙間ができても、皮膚表面にある皮脂膜の油がその隙間にしみこんでいくので、余分な角質細胞がたやすく剥がれ落ちることはありません。

⚫︎角層の水分
角層には、油分とともに一定量の水分が必要です。約30%の水分を含んでいるときが、角層にとって最良の状態とされます。しかし、角層の水分量は外界の湿度と相関しているため、外界の湿度が高い時は角層の水分量は増加します。
反対に、乾燥していると水分量が減少してカサカサしてきますが、保湿用クリームを塗って皮膚表面に油分を補給しておくと、それだけでも皮膚の荒れを防ぐことができます。つまり、皮膚表面の皮脂膜が一定の油を含んでいることは皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚の表面の荒れを防ぐために大切なことなのです。
また、皮膚表面を水に浸しておくと、水分を吸収して角層がふやけてきます。温かい水ほどよく吸収するため、長く入浴していると、特に角層の厚い指先の皮膚に多量の水分が吸収され、ふやけてシワ(ひだ)が寄ります。しかし、お風呂から出ると、外界の湿度の低さによって角層の水分が容易に蒸発し、ひだはすぐに消えます。このとき、皮脂膜とともに角層の細胞間保湿因子も流れ出すため、入浴前よりも皮膚の乾燥が進みます。

⚫︎角層の保湿因子(細胞間脂質と天然保湿因子)
角層は、死んだ角質細胞が14〜15層ほど積み重なったものです。それがなぜ乾いた空気の中でパリパリに乾いたりしないかというと、角層自身が保湿機構を備えているからです。
角質細胞と角質細胞の隙間は保湿因子である細胞間脂質で埋められており、角質細胞同士をくっつける役目を果たしています。そのため、角層の水分が蒸発して外に出て行きにくい仕組みになっています。また、細胞間脂質は水分と結合して水分を内部に留めています。細胞間脂質は角層のすぐ下にある表皮細胞から角層に放出されます。その半分以上がセラミドであり、セラミドは角質細胞間脂質の主成分といえるのです。
さらに、角質細胞の中にあるアミノ酸などの天然保湿因子(NMF)も水分を吸着する性質が強く、これらも大切な保湿因子です。
この細胞間脂質や天然保湿因子による角層の水分保持はバリアとしても重要です。正常な皮膚では分子量が1000以上の物質は角層を通り抜けて侵入することはできませんが、角層のバリアが十分に機能していないと容易に侵入してきます。例えば、アトピー性皮膚炎患者の皮膚は細胞間脂質が不十分なことが多く、ドライスキンになりやすい上、少しの刺激成分にも反応して湿疹が悪化しやすいです。また、ピーリングやパックで角質を剥がしたときや、入浴などで角層がふやけているときも角層バリアが一時的にこわれた状態になっています。

②角層のケア
◉乾燥肌
皮脂分泌が少なく、角層の水分量が低下している肌を乾燥肌、あるいはドライスキンといいます。乾燥肌は表面がカサついていて角質辺がはがれやすく、そのためにざらついてキメも粗くなります。また、角層の水分量が低下しているため、洗ったあとにつっぱりやすくなります。女性や子供、高齢者に乾燥肌が多くみられるのは、皮脂の分泌が少ないためです。
乾燥肌は外部からの刺激を受けやすく、かぶれや湿疹が起こりやすいです。そして、油分が不足しているため、表面に裂け目ができやすく、これがヒビや赤切れに繋がってしまいます。
これからの空気が乾燥する冬場はさらに乾燥し、さめ肌のような皮膚にみえてしまうこともあります。

◎乾燥肌のお手入れ方法
乾燥肌では、ビタミンA欠乏の場合と同様の変化がみられることが多いです。そのため、治療にはビタミンA内服がおすすめです。
クリームで、皮膚の表面に油分(特に乳化された油分が◎)を補うことも大切です。保湿剤(角層に水分を留めるもの)が入ったものであれば、なお良いです。肌荒れがひどいときは、皮膚の表面を滑らかにする作用をもつビタミンA、ビタミンEを配合したクリームもおすすめです。
レチノール、レチナール、レチノイン酸、トコフェノールなどの成分が入ったクリームを選びましょう。

◉混合肌
混合肌とは、部分的にカサつきと脂っぽさが共存する肌をさし、日本人女性に最も多いといわれています。

◎混合肌のお手入れ方法
皮脂腺の働きが活発なところ(Tゾーンなど)は脂性肌に対するスキンケアを行い、水分保持能力が弱くて乾燥しがちなところは、乾燥肌用の保湿力の高いクリームなどを使うというように、部位ごとの肌質に合わせてきめ細やかなケアを行いましょう。

◉敏感肌
敏感肌とは、一般には特に問題のない物質にも、かゆみやほてり、痛み、発赤、発疹などの症状が起こりやすい肌を言います。医学的には、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎を起こしやすい肌を指すことが多いです。
ここ最近敏感肌が増加する傾向にあるのは、食生活や環境の変化、ストレスの増加などによって体質が変化し、感受性が増大したことが原因とされています。
ただし、医学的な敏感肌は一部で、たまたまかゆみや発疹が出たために、自分は敏感肌だと思い込んでいる“自称敏感肌“の方もいらっしゃいます。

◎敏感肌のお手入れ方法
皮膚が敏感だと感じたときは、なにか異常が起こるサインが出ているとも言えます。
過剰にケアするよりも、化粧品の使用をできる限り控え、キレイに優しく洗顔して保湿剤のみでケアし、肌を刺激しないことが大切です。
化粧品でトラブルが起きやすい人は、敏感肌用の化粧品を選ぶのもひとつの方法です。

正しいお手入れで、乾燥する冬の時期を一緒に乗り越えましょう。

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