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わきがについて解説します

[2024.08.27]

★わきが(腋臭症)について

わきがは男女比は1:1でやや女性に多い傾向にあります。発症年齢としては平均的に16-18歳前後といわれており、症状は中年期以降に軽減していくとされておりますが、働き盛りや多感のときに症状があると非常にストレスに感じでしまう方が多いのも事実です。
わきがには鼻をつくような特有の刺激性のにおいがありますが、どの程度のものから病気として捉えるのかというはっきりとした基準はありません。ただ耳垢が湿っている、両親のどちらかがわきが・耳垢が湿っている場合には腋臭の可能性が高くなるといわれております。(伊藤の分類を参照)
わきがの刺激性のにおいは、アポクリン腺からの汗が様々な細菌で分解されることで発生するにおいです。つまり、このにおいは冬より夏の方が強くなる傾向にありますが、冬でも臭いが気になる方が多い傾向にあります。
また、わきがを気にして来院される方は多汗症を伴う場合が多いです。汗の量が多いと汗が細菌により分解され、臭いが強くなることがあるからだと思われます。

★においの原因

●動物性タンパク質や脂肪の多い食品
これらは体臭のもとになるばかりか、過剰に摂取すると腸内で悪玉菌が増えるなどして腸内環境の悪化を招きます。
腸内環境が悪化すると、アンモニアなどの毒素がつくられ、それが血液を通って口や皮膚などから排出され、口臭や体臭を引き起こします。
便秘がある人は、腸内環境が悪化している可能性が疑われます。

●思春期のホルモンバランス
思春期はホルモンバランスが不安定です。
思春期には性ホルモンの影響で、アポクリン汗腺から分泌される汗の量が増加します。
そのため、発汗量が多くなる思春期に体臭が強くなる傾向があります。

●加齢
加齢に伴う身体の変化はにおいとなり表れます。
30〜40代になると、後頭部、頭頂部、うなじを中心に、古い油のような臭いを放つミドル脂臭が出ます。40〜50代以上になると、体の中心部なら油臭くて枯れ草のようなにおいを放つ加齢臭も少なからず出てきます。

ワキガの原因となるアポクリン汗腺は皮脂腺とともに毛穴につながっているため、皮脂と混ざり合い、さらにさまざまな雑菌が付着して、ワキガ特有のイヤな臭いになります。
人が持つアポクリン汗腺の数は、人種的には黒人が最も多く、次いで白人、東洋人の順序であり、特に日本人は少ないといわれています。

★においへの対策

においを抑えるためには、
①発汗の抑制
外用剤やボツリヌス注射で発汗自体を抑える
②常在菌の抑制
抗菌作用のある制汗剤や抗菌薬を使用する
③発生したにおいの消臭
制汗剤などで一時的に消臭を行う
④香料成分でふたをする

これ以外にも、喫煙をしない、動物性たんぱく質を抑えた食事を中心にする、化学繊維をできるだけ避ける、脱毛をするなども臭いに軽減に役立つことがあります。

★手術について

上記にような対応を数か月継続しても治らない場合や職場学校などで指摘されて生活へ支障がある場合などには手術を検討していきます。現在ミラドライというレーザー治療も多くのクリニックで行われておりますが、当院では導入していないため皮弁法について簡単に解説致します。


わきがの手術は、腋毛が生えている部分を目安にアポクリン腺の除去を行います。
除去範囲をマーキングし、麻酔を除去範囲に十分効くように行います。
約4cm程度の切開を中央部に加えて、アポクリン腺があると思われる皮膚の剥離を行います。
十分に切除を行ったところで止血・洗浄を行います。
この手術では術後に出血をおこすことがあるため血腫ができないようにドレーンを留置します。
傷を丁寧に縫合し、術後はガーゼとテープで脇をしっかり固定します。
固定は3-5日間行いますのでその間脇が少し動かしにくくなります。
ドレーンを留置した場合は術翌々日に外来で抜去します。
抜糸は7-10日程度で行います。
臭いは100%減ることはありませんが、70-80%程度は軽減されるといわれています。

手術を行う時期に関しては様々な見解がありますが、局所麻酔で行うことや術後の安静を考え当院では18歳以上を目安に手術を行っております。
また、術後の安静制限があるため片側づつの手術を行っております。

まだまだ猛暑が続きます。
汗やにおいも気になりますが、まずは水分をしっかり摂ってお身体を大切にお過ごしください。

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