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Z形成・W形成術について

傷を目立たなく薄くするにはどうすればよいのでしょうか?(傷とは)で傷跡の成り立ちについて書かせて頂きましたが、まず重要なのは怪我や手術をした後の傷のアフターケアが重要です。しかし、アフターケアをどんなに頑張っても傷跡はゼロにはなりません。場合によってはそれが非常に目立ってしまったり、機能障害(ひきつれなど)を起こすこともあります。アフターケア(保存的治療)を頑張っても満足のいく結果が得られないときにはやはり外科的に治療をする方法を選択します。ここではその治療の一つである“傷を目立たなくする手術”について記載していきます。

真っすぐよりもジグザグ?傷を目立ちにくくする"Z"と"W"

傷をジグザグに縫合するとどういったメリットがあるのでしょうか?ジグザグに縫合するとかえって傷跡が目立ってしまうと思われがちですが、適切な選択とデザインを行うことでより傷を目立たなくすることも可能です。ジグザグに縫合する方法としてZ形成術とW形成術を主に用います。これも細かくいうと皮弁(植皮術、皮弁術について)という方法を応用した考え方になり、形成外科の中ではとても重要な手法になります。少し理屈が分かりにくいと思いますが、図も参考にして頂けると理解しやすいかと思います。

Z形成術は下の図のような原理で行います。2つの三角形の皮弁を作成し、それらを入れ替えることで傷の方向(ベクトル)を変換することができます。そうすることで傷の分断効果・延長効果・立体効果が得られます。特に分断効果は真っすぐな傷を分断することでぼやかしの効果が得られ、直線状の傷を目立ちにくくするのにとても有用です。また、関節部の怪我や手術痕のの影響で拘縮(ひきつれ)を認める場合があり、そのようなケースにおいては延長効果が有効に働き、拘縮の解除にも役立ちます。また、傷を立体的に変換することが可能であり、凹や凸を修正することも可能です。

W形成術は下の図のように傷と周囲の皮膚も含めてW型にデザインを行います。W形成術はほぼ傷の分断効果のみを期待して行います。そのためZ形成術とは異なり、延長効果や立体効果は得られません。今ある傷の方向を様々な方向に分散させ、かつデザインを皮膚割線に沿って行うことで分断効果(ぼやかし)が得られます。特に顔面の傷跡の修正などには有用な方法です。

Z形成術・W形成術のデメリットとして正常皮膚に切開が及ぶという点と傷が少し長くなるといった点が挙げられます。ZやW型に切開するには周りの正常な皮膚(組織も)を切除しなければならないため手術の範囲が少し大きくなってしまいます。また、Z形成術は傷の延長効果があるため必然的に傷が長くなってしまいますが、W形成術でも傷の両端の辻褄を合わせるためにどうしても傷が長くなってしまいます。ただ、このようなデメリットがあっても得られる効果のほうが高い場合が多いのがこの方法の優れている点であると思います。さらにZ形成術・W形成術の後もアフターケアを継続して行うことも重要になります。

傷跡はゼロにはできません。今後再生医療などの技術が進歩していいくことで変わってくる可能性もありますが、今でも昔から行われているZ形成術・W形成術が主流な方法となっています。当院でもさらに良い結果を得るために様々な工夫を行っていきたいと思います。

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