皮膚のできもの
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できものの治療について不安に思われる方も多くいらっしゃると思います。当院では、医師が皆様お一人お一人に親身になって対応いたしますので、お気軽に、まずはご相談ください。
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できものとは
皮膚にできるほくろやイボなどを総称してできものと一般的に呼びます。皮膚のできものには様々な種類があり、良性のものもあれば悪性のものも存在します。皮膚の下にあるできものは触ったりすることで予測がつくことも多いですが、超音波検査やCT・MRIなどの画像検査が有効です。また、切除した検体は病理検査に提出し診断を付けておくことをおすすめしております。
良性のできもの
ほくろ(母斑・脂腺母斑・表皮母斑・扁平母斑)、異物肉芽腫、皮膚線維腫(軟性線維腫、皮膚線維腫)、神経線維腫症(レックリングハウゼン関連)、脂漏性角化症(いぼ)、眼瞼黄色腫、ひりゅう腫、汗管腫、霰粒腫・麦粒腫、ケラトアカントーマ、粉瘤(アテローム)、石灰化上皮腫、脂肪種、血管腫、リンパ管腫、神経鞘腫、外骨腫、ガングリオン、粘液嚢腫、グロームス腫瘍など
悪性のできもの
基底細胞癌、日光角化症、有棘細胞癌、ボーエン病、悪性黒色腫、パジェット病など
できものの治療
皮膚にあるできものであればできものを含めて紡錘形(舟形)にデザインをして切除、縫合を行います。これは皮膚のゆがみを最小限にして傷を直線状にして目立ち難くするためです。数mmの腫瘍であれば炭酸ガスレーザーで切除することも可能です。特にお顔など目立つ部位ではRSTLと呼ばれる皮膚の細かいシワに沿って切開をおくことで目立ち難い傷になるよう配慮しております。また真皮縫合といって皮膚の真皮とよばれるしっかりした組織を縫合することで傷が開きにくくなり傷の線が細くなるようにしております。
皮膚の下にできるできものは皮膚との癒着があれば皮膚も一部切除することが必要ですが、癒着がなければ皮膚は切除しません。できるだけ小さい切開で切除するほうが傷跡が小さくなります。できものが大きい場合には中の空洞が大きいため血液が溜まったりしないようにドレーンを留置することがあります。
悪性のできものや良性のできものでも腫瘍が大きい場合には欠損が大きくなります。欠損が大きい部分を無理に縫い閉じるとゆがみやひきつれを起こすことがあるため場合によっては後述する皮膚移植(植皮)や皮弁移植を行う必要があります。
植皮術(皮膚移植)
植皮は移植する部分の状態に左右されます。骨や腱などの上には皮膚は生着しにくく、血流の良い組織が残存していることが前提となります。骨や腱など深部臓器が露出する場合には後述する皮弁移植を考えます。皮膚移植には薄い皮膚を移植する分層植皮術、分厚い皮膚を移植する全層植皮術に分類されます。分層植皮術は皮膚が薄いため生着がしやすく感染に強いといった利点がありますが、若干の拘縮や色素沈着を来すことがあります。全層植皮術は皮膚が厚いため生着がややしにくいことがありますが、拘縮や色素沈着といった合併症が少なく仕上がりは分層植皮術に比べると優れているといった点が挙げられます。ただ分層植皮術には特殊な皮膚を採取する器具と全身麻酔が必要なことが多いため皮膚移植の面積が大きい場合には近隣施設をご紹介させて頂きます。小範囲の欠損であれば当院で局所麻酔下の上に行うことが可能です。その場合、太ももからカミソリで皮膚を採取したり鼠径部などからメスを用いて皮膚を採取し移植します。皮膚の採取部は縫い閉じたり、創傷被覆材を用いて上皮化させることがあります。皮膚移植のデメリットは皮膚を採取した部分に傷跡が残るということも挙げられます。そのため出来るだけ目立たない部分(衣服でかくれる)を選択します。皮膚の移植は簡単にまとめると体のどこからか採取した皮膚を欠損部にパッチワークのように移植して固定するということになります。ただ皮膚が生着するには少なくとも10日間前後はかかりますのでその間の患部の安静が必要になります。われわれ形成外科医は移植した皮膚の固定法にtie over固定、陰圧閉鎖デバイスによる固定を好んで用います。tie over固定とはナイロンの糸を俵結びのようにガーゼと一緒に固定することで適度な圧迫を行う方法を指します。いかにして移植した皮膚がをずれないように固定するかがポイントとなり、それには患者様自身の安静を保つ努力も必要となってきます。ただ実際には仕事などもあり安静が保てないこともあるかと思いますのでそのような場合には後述する皮弁移植術を選択します。
皮弁移植
皮弁は植皮とは異なり、皮膚と皮下組織(脂肪や筋膜も)を含めて皮膚を動かす手術のことを指します。欠損の近傍から皮弁を作成するため質感の同じ組織を欠損部に移動させることが可能です。皮弁を採取した部分は縫合(場合によっては植皮)します。皮弁は植皮と異なり皮弁の特定の部位を繋げたまま移動(有茎皮弁という)させるので移動範囲に制限が生じ、皮膚のゆがみなどが生じることがあります。また、縫合した傷が幾何学的になってしまうため必要以上に傷が目立つことがあります。利点としては欠損部の近くの皮膚を用いるので質感に違和感のない仕上がりが期待できる、骨や腱などが露出した場合に有効である、植皮ほど厳重な安静が必要でないため創部の管理が容易であるといった点が挙げられます。ただ、切開と剥離範囲が広くなるため麻酔の使用量が多くなることがあり、欠損部が大きい場合は全身麻酔が必要になることがあります。有茎皮弁で被覆できないほどの欠損であれば身体の別のところから皮弁を採取し移植する遊離皮弁移植術が必要となります。これは顕微鏡下に血管を吻合する必要があり、特殊な基材と技術を要します。
合併症
出血、血腫、感染、創部離開、瘢痕拘縮(傷跡が目立つということ)、術後疼痛、再発、再手術の必要性、局所麻酔に伴うアレルギーなど
皮弁術:皮弁の部分壊死が稀に起こることがあります
植皮術:植皮の生着不良、皮膚採取部のトラブル
*診察時に詳しくお話させて頂きます。
術後の通院、処置について
術後は翌日あるいは翌々日に再診をして頂きます。ドレーンを留置している方は必ず術後処置に来院されるようにして下さい。ドレーンが抜去できればシャワー浴が可能となります。抜糸前は自宅での処置を行ってもらいますが、通院ご希望の方はご相談下さい。抜糸は部位にもよりますが、7日を目安に行っております。抜糸後は傷保護テープを開始して頂きます。抜糸が終了すれば1か月後、3か月後を目安に傷の確認、再発の有無などを確認します。
病理検査について
当院では切除した検体を病理検査に提出しております。稀に皮膚がんや想定外の腫瘍の可能性があるので必要な場合は必ず施行しております。病理結果は14日程度で結果が判明しますので外来受診の際に結果をお伝え致します。