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けが(外傷)の対応と治療

けが(外傷)の種類

日常生活でけがをする場面は沢山あります。転んだり、料理中に誤って包丁で切ったりと私たちの生活の中にはけがをするリスクがいろいろと潜んでいます。また、年齢を問わず誰でもけがをすることがあります。まず、けがの種類について説明します。

①擦過傷

摩擦などの外力により皮膚の一部が接線方向に削りとられた傷です。いわゆる転んで擦りむいた傷です。

②切創

包丁やスライサーなど鋭利な刃物で切った傷です。断端がシャープで深い組織まで傷が及ぶことがあります。指や手などでは腱(指を動かすヒモ状の組織)まで損傷が及ぶことがあり、注意が必要です。

③刺創

釘や木片などで突き刺さった傷のことです。刺入異物が体内に残ることがあります。刺さった部位や刺入物の内容によっては画像検査が必要になります。よくある魚釣りの針は“返し”が付いているため自分で抜こうとするとさらに食い込んでいくことがあります。

④裂挫創

転倒によるおでこの裂けた傷などであれば縫合が必要になります。また、受傷機転によりますが、大きな衝撃を受けた損傷の場合には皮膚欠損や他の重要臓器(神経、骨など)にも損傷を来す場合があります。屋外の傷の場合には細菌が侵入したり、皮膚の損傷が激しく組織の一部をデブリードマン(壊死組織の除去)する必要が生じることがあります。外科的処置を必要とする場合が多いけがです。

⑤咬傷(ペットなど)

ペットにより噛み傷や喧嘩などで人の歯牙でけがをすることがあります。ペットによる噛み傷は歯が長いため深部まで到達し、神経や腱などを損傷することがあります。また、感染を起こす可能性が高いため小さい噛み傷でも注意が必要です。

けがの対応と治療

応急処置、自己処置について

まずはきずの洗浄を行うことが重要です。消毒とは消毒液を用いて行うことを一般的には示しますが、消毒液自体に組織毒性があるため、むしろ正常組織を損傷し感染を引き起こす可能性があるともいわれています。傷の中ではなく周囲の皮膚を消毒することはもちろん手術前などではありますが。傷の洗浄に関しては水道水で十分であるとの研究結果も存在します。個人的には水圧で傷の異物などを流し出すことが重要であると考えているため、病院にすぐに来院することができない場合にはシャワーや洗面台の蛇口で傷を十分に流す(石鹸を用いてぬるま湯がよい)ことをして下さい。それから清潔なタオルなどできずを覆ってから病院にいくことをおすすめします。病院にくることができない場合にはドラッグストアなどでガーゼを購入して頂き、テープで貼付するのが良いと思います。けがをした2,3日は炎症が起こるため浸出液が多く絆創膏などではぐじゅぐじゅしてしまう可能性があるためガーゼでの被覆をおすすめしております。また、傷を剥がすときには痛みを伴うためガーゼにワセリンを塗布したり、濡らしながら剥がすことで痛みを緩和することができます。くどいようですが、けがの処置で重要なのはきずを洗浄して清潔に保つことです。

このような処置を行って頂くことで浅い擦り傷程度なら14日以内に治癒することが多いです。逆に傷がなかなか治らない場合や痛み、腫れが強くなる場合などは油断せずに早めに病院へ来院することをおすすめ致します。きずは早く治すことに越したことはありません。早く治るほうが傷が目立ち難いし、患者様のご負担も少ないからです。当院ではそれぞれの患者様のけがの程度や自宅での処置ができるかなどを考え、負担の少ないケアを心掛けております。

病院への来院をすすめるけが(外傷)

  1. 擦過傷は緊急を要する場合が少ないですが、出血が多かったり砂利やアスファルトの石が傷口に残る場合は早めの来院をすすめております。
  2. 切創は深くなることが多く、また出血量も多いため縫合処置が必要になることが多いです。
  3. 刺創は小さい“すいばり”程度なら緊急性はありません。ただ、錆びたクギや異物が体内に迷入することもあり、出血量が多かったり疼痛が強い場合は来院をすすめております。放置しておくと感染を起こすことがあります。
  4. 裂挫創は損傷が大きい可能性があるため来院をすすめております。
  5. ペットによる噛み傷などは感染する可能性が高いため、早めの来院をすすめております。

病院での処置

出血を伴う深いけがの場合は、局所麻酔を行い創部を観察します。次に洗浄を十分に行い、異物がある場合は摘出を行います。傷が深部臓器に達する(骨折や神経損傷、腱断裂を伴うけが)場合で当院で対応できないものは近隣施設へご紹介させて頂く場合があります。損傷した組織を修復しながら縫合していきます。その際も傷が目立ち難いような工夫を行いながら処置を行います。傷の深さや感染が懸念される場合にはドレーン(血抜きの管)を留置したり、開放創(傷を縫わないで空けておく)とする場合もあります。処置後は軟膏や貼付剤などきずの程度や患者様のご負担を考えた処置を説明させて頂きます。

お子さま(小児のけが)の処置

お子さまのけがの場合にはなるべく痛みを伴わない工夫を行いながら処置を行います。ご家族の方に一緒に付き添って頂き、お子さまに安心してもらいながら処置をさせて頂きます。場合によっては局所麻酔を行ってからの処置が必要になることがあります。初めての局所麻酔でご不安もあるかと思いますが、痛みを抑えるよう工夫(傷から直接注射を行う、できるだけ細い針を使用する、ゆっくり投与を行う)しながら行います。

抗生剤投与について

擦過傷のような浅い傷では内服の必要はありませんが、刺創や咬傷など深い傷では内服が必要になる場合が多いです。傷の状態を確認しながら適切な量を処方します。

破傷風について

屋外のけが、特に土壌などでのけがの場合は破傷風を考慮しなければなりません。破傷風菌は、土壌に広く存在し、家畜の腸内や糞中にも生息するといわれております。破傷風菌の感染は現在でも認めており、開口障害や痙攣などの重篤な症状を認め致死率も20~50%程度と高率であるといわれております。さらに破傷風に感染するかどうかの明確な判断基準はなく、医師の裁量で投与が決められることが多いです。ただ、破傷風は小さい傷でも感染する可能性があるといった点に注意が必要です。このため破傷風のワクチン接種は国内で1968年(昭和43年)以降に開始しております。外傷後の対応としては投与歴の有無で異なり、大まかに述べると破傷風ワクチン接種歴がない場合には破傷風トキソイドを合計3回、ワクチン接種歴がある場合には1回の接種(ブースター効果)を行うことが多いです。もちろんトキソイドなのでアナフィラキシー既往や妊婦の方には投与ができませんし、投与を希望されない方もおられます。ただ、国内でも破傷風は存在するということを知っといて頂くことが重要です。

通院、処置について

処置後は患者様のご都合に合わせて通院の頻度を決めていきます。基本的には上でも書いたように洗浄が重要です。毎日シャワーで石鹸を用いて傷を洗浄してもらうこと、処方した軟膏を塗布してガーゼで保護してもらうことのみです。自宅での処置が困難な方は外来で処置を行います。縫合をしている場合は傷の様子を見ながら約7日前後で抜糸を行います。

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